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執筆者の写真Pro SciBaco

【サイエンスコミュニケーションと法#4】自然公園法の改正されて、自然との付き合い方も変わる?

サイエンスコミュニケーションに関係する最近施行された法律について解説していく「サイエンスコミュニケーションと法」という連載、第4弾は2021年に改正した「自然公園法」について紹介していきます。自然公園法は国立公園や国定公園などの活動について定義した法律です。自然を楽しむ活用の側面と、自然を保護する側面、そのバランスをどう保てばいいのでしょう。


サイエンスコミュニケーションと法のロゴ

自然公園法とは?


自然公園法によると、自然公園の目的は優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することです。なお、自然公園には環境大臣が指定し国が管理する「国立公園」と環境大臣が指定し都道府県が管理する「国定公園」、都道府県が指定する「都道府県立自然公園」があります。なお国立公園は全国に34カ所あり、北海道には都道府県最多の6つの国立公園があります。


自然公園は地域の重要な資源の一つです。観光資源としてはもちろん、地域の学習の場や交流の場でもあります。管理は国や地方自治体が行っていますが、今回の改正では自然公園を管理する人や地域の住民の意見を聞いて、自然公園の活用について考える内容が盛り込まれています。


自然体験活動促進計画制度の新設


新しい改訂では、「自然体験活動」を実施する際、市町村やガイド事業者等による協議会が計画を立てた場合、手続きが簡易化されることとなりました。地域の自然環境に合わせたアクティビティが、より柔軟に開催できるようになりました。


自然体験活動はサイエンスコミュニケーションにも通じる活動です。体験からの学びは、知識だけではなく、自然に対する親しみや自然保護への動機づけなど、非認知能力にも効果的だと考えられます。一方で、季節によって見所や活動の幅が変化し、自然の中での活動特有のリスクもあることから、地域の自然特性を理解したうえ活動をデザインしていく必要があるため、地域のガイドなどとの連携は不可欠です。


近年は、季節性だけではなく、時間を日中からずらした楽しみ方も増えています。例えば、早朝に出発するモーニングツアーでは、日の出と共に景色を楽しむことができ、人気になっています。また、夜行性の動物を観察したり、星空を楽しむナイトツアーも、ガイドと共に安全に楽しむことができます。




利用拠点整備改善計画制度の新設



また自然公園周辺の宿泊施設や飲食店などの施設整備も緩和されました。市町村や旅館事業者等による協議会が計画を作成した場合には、より自由に簡易に周辺地域を整備することができます。自然公園の中でのラグジュアリーホテルの建設や観光資源となるカフェの設置など多様な整備計画が考えられます。


コロナ禍で増えたリモートワークを活用したワーケーションなども新しい自然公園の活用として期待されています。環境省のサイトでは国立公園でワーケーションができる施設が検索できるページもあります。



北海道では知床の斜里町がワーケーションの誘致に力を入れており、利用料、滞在費無料のテレワークセンター「しれとこ斜里テレワーク」があります。気軽にワーケーションを試したい方は、利用してみてはいかがでしょう。


野生動物への餌付けや木の違法伐採などの罰則強化





改正では自然公園の活用だけでなく、保護の観点からも行われました。例えば、クマやサルなどの野生動物に餌付けすると30万円以下の罰金が科せられるなど、罰則が強化されました。違法伐採などはさらに罪は重く、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。それ以外にも、自然公園内では植物や鉱物の採取は禁止されています。


ただ、罰則を強化するだけなく、自然との付き合い方について伝えていくアウトリーチ活動も両輪で必要です。特に餌付けや植物採取などは、自然への興味が講じた結果とも捉えられます。今の自然を楽しむだけでなく、将来の自然環境への視点も同時に育てるために何ができるか、サイエンスコミュニケーションの観点からも考えていく必要があります。





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