2023年7月22日に配信したChatPot 1「森のどうぶつとの付き合い方:池田貴子さん」の内容をシリーズの記事としてお読みいただけるようになりました。第1回は都市に住んでいるキツネ(アーバンフォックス)の生態についてです。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 獣医学博士の池田貴子先生の研究室にやってきました。池田先生、本日はよろしくお願いします。 コーヒーの道具をこちらに置かせていただいて、まずコーヒーを入れましょうか。
コーヒーを入れながらインタビュー進めていきたいと思います。
まず、池田さんが専門に研究していらっしゃるテーマについて教えてください。
( ˆoˆ )/ はい。私は野生動物の生態学が専門なのですが、主に街に住んでいる、都市に住んでいるキツネの生態と、あとそのキツネが人間にうつすエキノコックス症という感染症の研究、どうやったら感染しないですむかを研究しています。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 北大はもちろんですけれども、札幌市内の住宅街でも夜間、見かけることがありますよね。
( ˆoˆ )/ ありますね。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 彼らはどこから来ているんでしょうか。
( ˆoˆ )/ 実はどっか遠くから来ているわけじゃなくて、もう街に住んでいるんですよ。
もちろんその巣を作りやすい場所みたいなのはあって、例えば北大とかはすごいいい環境なんですよ。 人からちょっとなんか隠れられるような林もあったりとか、掘れるような土とか緑地もあったりするので、北大はいわゆるキツネの供給源になっているし。 あとは大きめの公園も同じですね。なんかちょっとした山とか林とか。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) うんうん。
( ˆoˆ )/ 人が少し入りづらいような場所って、大きめの公園だとあるじゃないですか。そういったところに巣を作っていて、そこから普通に何キロとか軽く歩くので。
そこから出張ってきているって感じですね。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) なるほど。大きい公園とか、北大みたいなキツネにとって住みやすい環境から、近くの住宅街にも少し散歩しているみたいな感じなのでしょうか。
( ˆoˆ )/ 多分。なんか餌場を、フラフラと餌を探しながらとか。
あとはけっこう縄張り性が厳しい動物なので、パトロールも兼ねているんだと思います。うん。パトロール。マーキングしながら。
ファミリー単位で暮らすんですけど。自分のファミリーの縄張りを守るというか、いるよっていうアピールをするためでもあると思うんで。
都市に住むキツネの生活スタイル
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) そういった都市に住むキツネの生態について教えていただけますか。
例えば、巣をどういうところに作るとか、 1年を通してどういう生活をしているのかみたいなところを教えていただけますか。
( ˆoˆ )/ はい。巣は、ほんとに街の中のちょっと大きめの緑地帯。 大きい公園とか。
川沿いが結構好きで、川沿いも大きな緑地帯なんですよね。大きめの川の川沿いで、豊平川とか石狩川とか。そういうところに、やっぱり普段そんなに人がザクザク入ってはいけないような、雨風がしのげて、他の動物とかも、例えば空からは狙えないとか、そういうところを、けっこうピンポイントで好きな場所選んで、穴を掘って、土に穴を掘って、トンネル状の穴掘るんですけど。
そういうところに住んでいて、アリの巣のちょっと単純バージョンみたいな感じで、けっこう坑道がずっと続いているみたいです。
出口がいくつも開いているみたいな、もう代々使われている巣はけっこう立派で、そういう形の。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 何代にも渡って巣を受け継いでいく。
( ˆoˆ )/ そう。死んだりしない限りは、お母さんがずっと、その縄張りを守っていて。縄張りって巣を中心に構成されるので、縄張りの中に何か所か巣を持つんですよね。一か所、ちょっとこう人に動かされたみたいな時は、ぱって出て、ほとぼりが冷めるまで、その別荘にいて。みたいな感じのところをいくつも持っていたりするので。
メインの巣が、例えばそういう緑地帯のちょっとした林の中だったりする場合でも、その都市にいるキツネの場合は、ちょっと廃屋みたいな、農家さんの台風で壊れた納屋の、でも撤去しない、なんていうか木材が積み重なっているところみたいなところも隙間から入っていって、その隙間を巣として使ったりとか。その縁の下から入っていって、下掘って巣として使ったりとか。林の代わりに、なんていうか、家が空を守るものみたいなっていう場合も、街に住んでるキツネの場合はありますね。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 巣にはどういったものがあるんですか。ご飯を置いておくとか、拾ってきたものを蓄えとくような場所があるのかとか。
( ˆoˆ )/ 巣は、巣穴と巣の周辺も巣と言っていいエリアなんですよね。周辺というのは見渡せるぐらいの範囲なんですけど。 だから、人間の家と同じで、玄関があって、玄関出ると、踊り場じゃないけど、ちょっとしたなんかスペースがあって、そこを出ると道路に出るみたいな構造になっているお家多いと思うんですけど、なんかそれに近い感じです。巣口があって、すぐその自分のテリトリー外ってわけじゃなくって、その前のスペースは、子ギツネを遊ばせとくエリアだったりとかして。
だから、よくサンダルの片っぽとか、テニスボールとか、なんかゴミ捨て場からたぶん盗んできたジュースの缶とか、カップヌードルの捨てられたやつみたいなのが、そういう巣の前のエリアにはけっこう。たぶん咥えて持ってきちゃったんだなっていうやつがあったりするんです。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) じゃあ、何気なく見ているような落ちているゴミも、もしかしたらキツネが遊んでいたアイテムだったのかもしれない。
( ˆoˆ )/ そうかもしれない。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) なるほど。キツネが街に住むようになったのは、いつ頃からなんでしょうか。
( ˆoˆ )/ 場所によると思うんですけど、 北海道の場合は、「アーバンフォックス」って言われるんですよね。街に住む都市キツネって言うんですけど、 そのアーバンフォックスって英語で始まっているんですけど、イギリスが最初だったんですよ。
見つかったのはロンドンが最初で、 それが1960年代後半とか70年代ぐらいの頃にそういうアーバンフォックスが目撃されるようになって。
イギリスはけっこう庭が立派なお家が多かったりとか、街の真ん中でもけっこうのどかなというか、ちゃんと緑地とかを残してその街づくりをする習慣が多分昔からあって、そういうところは人にとっては最適みたいな感じで。
多分、あるキツネがそういうとこにちょっと入り込んでみたら「快適じゃん、餌もすぐ取れるし」みたいになって、多分そういう個体がそこで代を重ねていって、アーバンフォックスと言われているっていうか、そういう風な感じなんですけど。
北海道っていうか、札幌の場合もおそらくそうで、イギリスみたいな庭の行動ではないけど、けっこう緑地帯がモザイク状にあって、野生動物にとっては割といい環境だと言えるんですよね。街に適応できる系の動物だったら。
多分、街づくりの時の北海道って、けっこう、緑化計画を札幌市は 30年前くらいから進めてきていて、意識的に緑地を残したりとか、 逆に開発しちゃったところ緑地に戻したりみたいな作業を何十年もかけてしてきている街なんですよね。
なので、そういう計らずもというか、人間にとって心地の良い緑地帯はキツネにとっても心地良かったっていう感じで、その札幌の都市計画が始まった頃から、アーバンフォックスは徐々に出てきているはずですね。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) なるほど。札幌、山も近いですし、出てきやすそうですよね。
( ˆoˆ )/ 多分普通に元々住んでいたところは山の方だったと思うんですけど、山とか、その山と街の途中にある農地とか。里山が1番好きって言われていて、実は山っていうよりは、ちょっと人間の生活圏の近くの里山が1番好きな動物なんですよね。
キツネとか狸とかは。だから昔話でよく出てくる。よく目撃されているから、そう、昔話で出て、ゴンギツネとか出てきてみたり。あとは多分妖怪としても出てきたり、神の使いとか、そういう動物にもなんかね、任命されているじゃないですか。
つまり、けっこう目について、でも夜行性だからちょっと神秘的でっていうところで、そういう扱いになったんじゃないかなと勝手に思っていて。
なので、元々は里山が好きだったんだけど、街にちょっといい緑地あるみたいな感じで来たら住みやすかったみたいな感じなんだろうなっていうふうに推測しています。
そんなにキツネの研究者、実は多くないので、なんかあんまりわかってないこともけっこうたくさんあるんですけど。
(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 出てきても、その都市キツネっていうのは 5~60年くらいってことですね。
( ˆoˆ )/ ですかね。少なくとも 30年とかは。
人が認識するぐらいになったのはそのぐらいなんじゃないかな 思いますね。私が学生の頃でも、ちょっと昔から都市にキツネが出てきて久しいとか言われていたので、多分人間の一世代分ぐらいはアーバンフォックスの歴史はもうあるんじゃないかなと。
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