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科学の宣言とCoSTEP宣言

科学とは何かを社会的に定義したブタペスト宣言、そしてその20年後に策定されたポストブタペスト宣言をご存じですか?SciBacoは北大CoSTEPから派生したスタートアップ企業ですが、そのCoSTEPが二つの宣言を軸にサイエンスコミュニケーションの宣言、CoSTEP宣言を先ほど策定しました。

今回は、背景となる二つの宣言とCoSTEP宣言についてご紹介します。


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ブダペスト宣言

 1999年に、ハンガリーの首都ブダペストで開催された世界科学会議では、21世紀のための科学を考えるためおよそ2000名の科学関係者が集い、科学と科学的知識の利用に関する世界宣言を作りました。科学と科学的知識の利用に関する世界宣言、通称ブダぺスト宣言の中では、科学の4つの方向性が宣言されました(文部科学省 1999)。

 ひとつは、私たちに新しい知をもたらす「知識のための科学;進歩のための知識」、2つ目は「平和のための科学」、3つ目は資源や環境、民主主義や国際協力といった世界のバランスを崩さないための持続可能な開発を支える「開発のための科学」、そして最後に社会的倫理的側面にも配慮し科学を社会のために活用するために研究する「社会における科学と社会のための科学」です。

 科学者のための科学という視点だけでなく、科学技術と社会との協調という部分が宣言には色濃く表現されています。また、この時は改めて科学と社会との対話の必要性がうたわれ、サイエンスコミュニケーションの重要性が世界に宣言されました。


ポストブタペスト宣言「科学、倫理、そして責任 ― 1999年の世界科学会議から20年」

 ポストブタペスト宣言「科学、倫理、そして責任 ― 1999年の世界科学会議から20年」

第9回世界科学フォーラムでは、2019年にブタペスト宣言の現代版が作成されました。それが「科学、理論、そして責任」宣言です。近年、情報通信技術、合成生物学、遺伝子編集、人工知能、ビッグデータ、機械学習の進歩は、ブダペスト宣言が目指す社会の幸福や環境への負の影響、不平等の拡大などの懸念が示されています。

 本宣言は研究者による科学の反省及び責任を自覚した自己規制の文化を育むために制定されました。本宣言では4つの提言が宣言されています。ひとつは、科学の貢献や価値を地球規模で捉える「地球の幸福のための科学」、2つ目は科学の健全な運用のために「研究の公正性に関する世界基準を強化する」こと、3つ目は科学の自由を担保する「学問の自由と科学に対する人権の実現」、そして最後にサイエンスコミュニケーションの重要性を強調した「科学を伝える責任と倫理」です。ここでは、科学を公共財として開くオープンサイエンス、科学の運用やそれに伴うリスクについて研究者と市民との対話の必要性、証拠に基づいた意思決定を支える科学的エビデンスの提供、そして最後に誤解のある科学ニュースへの対応が必要とされています。サイエンスコミュニケーション自体が科学活動の一項目として含まれています。


CoSTEP宣言

 CoSTEPが開講したのは、サイエンスコミュニケーション元年ともよばれた2005年ある。各地でサイエンスカフェが実施され、大学には科学技術コミュニケーションに関する講座が設立されました。

 2025年、CoSTEPは20周年を迎えます。それを機に、CoSTEP宣言というサイエンスコミュニケーションの目的と範囲を心得としてまとめた宣言を、150名以上の修了生と共に考えました。


 CoSTEP宣言は、伝える、育む、省みる、つなげるの4つのパートからなっています。



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伝える科学技術コミュニケーション

科学と技術を正確に、中立的に、もしくは包括的に伝えるための科学技術コミュニケーション


育む科学技術コミュニケーション

科学技術との距離を近づけ、科学技術への関心を育て、未来の科学技術とそれを育む土壌を耕す科学技術コミュニケーション


省みる科学技術コミュニケーション

科学技術のリスクを検討し、科学技術を適切に管理し、時に行き過ぎた科学技術への依存を振り返るための科学技術コミュニケーション


つなげる科学技術コミュニケーション

科学技術に関わる活動を開き、研究者と市民、研究者と他分野の専門家、そして研究者同士をつなぐための科学技術コミュニケーション 


各宣言の詳しいリンクはこちらにあります。ぜひ、どのような宣言だったのか、覗いてみてください。


宣言へのリンク

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