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執筆者の写真mori saya

サイエンスコミュニケーション×キーワード

ESDってなに?


ESDという言葉を耳にしたことはありますか?

私は恥ずかしながら最近までいまいち意味を知らないままSDGsの文脈で出てくる言葉、くらいの認識でいたのですが、今年に入りESD学習会のお手伝いをさせていただくことになり、その中でだんだんとその意味や持つ背景がわかってきたところです。

SDGsのように恐らくこれから耳にすることが多くなるであろうESDについて、今回は基本的な解説と、どのような場面で展開しているのか、されていくのか、というところをサイエンスコミュニケーションとつなげながら考えてみたいと思います。



ESDとは


ESDとはEducation for Sustainable Developmentの略で、日本語では持続可能な開発のための教育と訳されています。


2002年に行われた「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で日本が提案し国連で決議されたのが「ESDの10年」であり、持続可能な社会のつくり手をはぐくむため、現代社会における地球規模の諸課題を自らに関わる問題として主体的に捉え、その解決に向け自分で考え、行動する力を身につけるとともに、新たな価値観や行動等の変容をもたらすための教育とされています。


ESDを推進することでSDGsの達成に寄与できるという考えのもと、様々な取り組みがなされており、特にユネスコスクールというユネスコの理念を学校現場で実践するためのネットワークに加盟している学校がESDの推進拠点として位置づけられ、総合的な学習の時間などで地域課題について取り組むフィールドワークなどが行われています。

環境問題や環境保全についての学習である環境教育も、持続可能な社会について取り組むESDと同義とみなされていることも多いようです。


UNESCOが発表したESDのロードマップはこちらから読むことができます。



ミュージアムとESD


ユネスコスクールのように学校教育で積極的に取り組まれているESDですが、私がESDという言葉をはじめて知ったのは動物園での取り組みについてでした。

博物館施設の中でも特に、動物園や水族館、植物園など生き物を扱うミュージアムでは、生態系について学んだり、環境保護について考えるきっかけを与えるような教育プログラムを展開している館が多くあります。


動物園や水族館は学校の校外学習の場としても多く利用されています。

校外学習では単なる見学で終わるのではなく、何を学ぶかという目的を持って行われることが多く、ミュージアムへ実際に行ったからこそ体験できる学習としてESDに関するプログラムが用意されている事例もあります。


また、学校の先生向けにESDの授業づくりについて支援を行う園もあり、校外学習での利用にとどまらない、ESDを通した学校教育と社会教育の連携があるようです。




サイエンスコミュニケーションとESD

ESD自体が教育という双方向のやり取りの中で形成されていくものであることからも、サイエンスコミュニケーションと通ずるところが多いのではないかと思います。

たとえば、ChatPotでもご紹介した池田貴子さんの都市ギツネ対策の取り組み坪田敏男さんのヒグマの生態調査などに見られるように、生き物そのものを知ろうとすれば自ずとその生き物が暮らす環境や人間との関わり合い、そこから生じる課題や個体の増加・減少など様々なことに目を向けることになります。


ESDの取り組みにサイエンスコミュニケーションの手法を取り入れたり、サイエンスコミュニケーションの場でESDのテーマを扱う、ということもこれから増えていくのではないでしょうか。


学校教育と社会教育、ESDとサイエンスコミュニケーション、これらはゆるやかにつながっているのかもしれませんね。



参考:

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