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いまさら聞けない#1:サイエンスカフェ

いまさら聞けないサイエンスコミュニケーションの用語解説。第1弾は「サイエンスカフェ」です。サイエンスコミュニケーションを体験する身近な入り口の一つが「サイエンスカフェ」です。カフェのような公共空間で、コーヒーなどの飲み物を片手に気軽に研究者と交流する、サイエンスカフェ。しかしその始まりや日本で広まったきっかけを探ると、その形態は様々。サイエンスカフェについて深堀していきます。






 

サイエンスカフェの始まり


サイエンスカフェは、Science CafeもしくはCafé Scientifiqueと呼ばれ、1990年代にイギリスで開発されました。


まず、イギリスのテレビ番組のプロデューサーをやっていたダンカン・ダラス(Duncan Dallas)が、リーズのワイン・バーを会場に第一回目のサイエンスカフェを実施します。ダラスはフランスの哲学カフェに着想を得たため、カフェ・シアンンティフィーク(Café Scientifique)と名付け、自由に科学について語る場を目指しました。同じころ、フランスでも哲学カフェをモデルに、パリやリヨンでサイエンスカフェが行われるようになりました。


同時発生したサイエンスカフェですが、イギリスとフランスではその形式も異なりました。イギリスの場合、一人のゲストがまず20分程度の話題提供を行い、その後質疑や意見交換を行うというスタイルでした。一方、フランスでは異なる背景のゲストが3~4名集められ、パネルディスカッションのような形式で議論や意見交換をするスタイルをとったようです。ただどちらも話題提供は短めで、ゲストだけでなく参加したすべての人が議論に加わるという対話を重視しています。



日本のサイエンスカフェ


日本では2004年に発表された科学技術白書で初めてサイエンスカフェが短いコラムで紹介されました。しかしその反響はすさまじく、大手新聞やテレビで紹介されることとなりました。その結果、サイエンスカフェは2004年の10月に京都のNPO法人「日曜大学」主催のサイエンスカフェを皮切りに、国立天文台や三省堂書店、など様々な場所でサイエンスカフェが開催されることとなったのです。


日本でのサイエンスカフェも、欧州での始まり同様、主催者によって様々な形式がとられました。対話メインのサイエンスカフェでは数十人規模で運営されていたサイエンスカフェですが、東北大学や北海道大学のサイエンスカフェは100名規模のイベントとなりました。


一見すると、大規模なサイエンスカフェはすでにその双方向性を失っているのではないかとも思われますが、最近の研究では文化や地域によっては対話の前に発信や科学に触れる機会を設けることの意義も再発見されています。また、対話型、政策決定型のサイエンスコミュニケーションの前段階として、市民側の対話へのモチベーションや意識を高める必要性も指摘されているため、カジュアルな場で気軽に科学に触れるという意味では意義がある活動だと考えられています。


サイエンスカフェの効果


サイエンスカフェという形態は本当に効果的なのでしょうか。3Mという企業が毎年、市民の科学に対する意識調査を国際的に行っています。(State of Science Index Survey)


その調査の中ではなんと83%もの人がもっと科学者からの情報を得たいと考えているという結果になっています。ただ、多くの場合、インターネットからの情報に頼らざる得ず、その中には悪質な情報があることも人々は認識しています。


調査の詳細はこちらから



イギリスの調査では、今後期待する情報発信の場として、インターネット空間の次に入場無料のイベントや日常空間でのサイエンスイベントが求められていることが明らかになっています。



What does the UK public want from academic science communication?より



その意味でも、サイエンスカフェのようなカジュアルなイベントは有効であるということが考えられます。ただ、カジュアルな形のサイエンスカフェは、従来の研究機関のイベントと性質が違うため、難しさもあります。そのため、サイエンスコミュニケーターがサポートすると効果的な場合もあります。


多様なサイエンスカフェ


これまでユニークな形のサイエンスカフェが実施されています。


Cafferenze カフェレンザ


欧州ではサイエンスカフェが対話重視から始まりました。ただ、サイエンスの専門的な知識が不足しているため、サイエンスカフェとコンフェレンス、つまり発信部分を強化したサイエンスカフェです。


Reversed science cafe 反転サイエンスカフェ


反転サイエンスカフェは、研究者が知りたいことを市民に聞くという話し手と聞き手が逆転したサイエンスカフェです。


ハイブリッド型サイエンスカフェ

サイエンスカフェとワークショップや展示といった別の要素と組み合わせて行うサイエンスカフェです。


サイエンスカフェの本質は、気軽に研究について触れられることです。皆さんも目的に合わせて、様々なサイエンスカフェをデザインしていきましょう。


[参考文献]

Dalls, D (2006) Café Scientifique—Déjà Vu, Cell 126(2), 227-229

中村 征樹(2008) サイエンスカフェ, 科学技術社会論研究 5, 31-43


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