カラスとCrowLab
2023年9月18日配信したChat Pot4「カラスと話せば社会が見える?」の内容を記事としてお読みいただけるようになりました。ゲストにカラス問題に取り組む株式会社CrowLab代表の塚原直樹さんをお迎えして、カラスの生態や人間社会との関わり、カラスとの音声コミュニケーションについて伺っています。
(⋆•ᴗ•⋆) 他の街と同じように、札幌にもたくさんのカラスが住んでいます。
時には近くを通る人にイタズラをして、ちょっと怖く感じることもありますが、秋にはカラスもひっそりしているような気がしてきます。
この時期、カラスたちはどこでどんなふうに暮らしているんでしょうか。今日はカラス研究の第一人者、株式会社CrowLab代表塚原直樹さんにカラス研究の最前線を伺います。
最初に塚原さんのことについて少し教えてください。
まず、研究対象として塚原さんがカラスに興味を持ったきっかけと、CrowLabはどういった活動をされているか教えていただけますか。
カラスに興味を持ったきっかけ
(¯∇¯)۶ 私は、元々カラスが好きというわけではなかったんです。動物がすごく好きで、動物の研究をしたいと思っていたので、宇都宮大学の農学部に入りました。
選んだ研究室では、いろいろな動物の研究をしていたのですが、そこに教授の杉田昭栄先生がいました。その先生はカラスの研究で有名な先生です。
私がその杉田先生に大学院に進んで動物の研究がしてみたいと話をしたら、「君にいいテーマがあるよ、カラスが何を喋ってるか明らかにしなさい」って無茶ぶりをされました。それが、まさにカラスを研究するきっかけになりました。
私の初めの研究テーマは、カラスの音声コミュニケーションに関する研究でした。カラスが何を喋ってるのか、どういう意味があるのかというのを調べる研究だったんです。
そうして、だんだん意味が分かってきた中で、録音したカラスの鳴き声をスピーカーから流す実験をやりました。そして、カラスの行動をある程度コントロールできるようになってきたんです。そこで、そういった手法をうまく使って、カラスと対話することによって行動をコントロールすることができないかと研究を始めました。スピーカーからカラスの鳴き声を流して、行ってほしくない場所から別の場所に行ってもらう。それだけじゃなくて、ここならいてもいいよっていう場所があれば、そこまで誘導する。それを全部カラスの鳴き声を使って、音声コミュニケーションを使って実施するのです。
まだ誘導のところはあんまりうまくできてない、実用化まではいってないんですが、ある程度は誘導できてきました。ある意味カラスとの対話ができているわけです。現在、そこの部分をCrowLabとして事業化しています。
どうやって状況を改善するのか
(¯∇¯)۶ 例えば、市街地でカラスの糞の被害がある場合は、市街地にねぐらを作っていることがあるんです。そうすると、ずっとその場に滞在するので、道路とかが糞まみれになるので、そこに、ねぐらを作ってほしくないというような要望があったりします。
そこで、「ここはちょっと危ないぞ」みたいな鳴き声を再生するんです。カラスが警戒している時に発する鳴き声なんですけれども。
そういった声とかを、その現場、その現場にあったような鳴き声っていうのを作ります。今まで録音した鳴き声を組み合わせて作って、そこで再生すると、カラスはここの場所にいると危ないんじゃないかって思って別の場所に移動するということになります。このような対策をして、糞の被害を減らします。
あるいは、農作物の被害があるようなところであれば、農作物を食べられないように、やはり警戒する時の鳴き声とか流して、飛来する機会を減らします。また、飛来してきたとしても、警戒させて食べさせないようにする。警戒してる時は、あまり食べません。食べる時というのは、結構どちらかというとリラックスしている時のような状況なので、警戒させて食べないようにさせるとかですね。
そういったことをやっていって、問題が起こっている、カラスが被害をもたらしているっていう状況を改善することを事業としてやっています。
カラスの1年(春夏秋冬の過ごし方)
(⋆•ᴗ•⋆) チャットポットはお茶をいただきながらお話を聞く企画になっています。今日は塚原さんに烏龍茶をお持ちしました。烏龍茶の漢字にもカラスの文字が入っていますね。お茶の葉がカラスみたいに黒くて、龍のようにねじれていることからこの名前になったそうです。普段はどんなお茶を飲まれますか。
(¯∇¯)۶ そうですね、昔は緑茶とか、それこそ烏龍茶とかよく飲んでましたけど、子供が生まれてからはノンカフェインの麦茶とかルイボスティーとかをよく飲んでいます。
(⋆•ᴗ•⋆) では、カラスの研究について伺いたいんですが、春先にカラスが人にいたずらをしたりするのは巣やヒナを守るためと聞いたことがあるんですが、秋になるとカラスの行動もだいぶ落ち着いてきたようです。今、どこでどんなふうに過ごしているんでしょうか。また、冬はどのように過ごしているのか、カラスの1年を教えていただけますか。
(¯∇¯)۶ カラスはですね、繁殖期が春なんです。北海道だとちょっと時期ずれるかもしれないんですけど、大体2月とか3月ぐらいから巣作り、卵を産んでヒナを育てるところから始まって、大体、ヒナが、巣から出るのが4月とか5月ぐらいです。
その後、親元をすぐに離れるんじゃなくて、しばらく親と一緒に過ごすんですね。親元で、餌の取り方とか、飛び方とかの教育を受けます。
その後、親元を離れて、まさに今ぐらいの時期に若者同士でつるむというかですね。
結構、若いカラスっていうのは、あまり警戒心がなくて、人が近づいても逃げなかったりってことが結構あるんです。全然逃げないなんていうのは、多分、若い個体じゃないかなって思います。彼らはゴミを漁って過ごします。
冬になると、これはカラスだけではないんですが、野生動物全般にとっては、すごく厳しい季節になります。というのは、自然界の食べ物っていうのがほとんどなくなってしまうのですね。秋だったら、虫とかいっぱいいますけれども、あと農作物とか、自然界の木の実とか。
冬は、そういった食べ物っていうのが全く取れなくなってしまって、落ち穂とか、そういったもので飢えを凌いでいます。なので、その時期っていうのは、冬をなかなか越せないですね。特に若い個体、その年に生まれた個体なんかは、結構餓死してしまうと考えられています。
そこから厳しい冬を乗り越えられると、また春になって繁殖期を迎えるというサイクルなんですが、繁殖できるのは、最低でもですね、冬を2回越えないといけない。
3歳ぐらいにならないと、卵を生んで繁殖できないことが分かっているんです。また、ペアにならない個体もいるので、全部が全部繁殖してるわけではないんです。
少なくとも、ペアになってですね、繁殖できる個体っていうのは、カラスの中ではすごく優秀な個体で、そういう厳しい冬を何度も乗り越えてきたっていうような個体っていうことで、すごいカラスというか、カラス界の中ではすごい!と見ていただけると、またちょっと面白いかなと思います。
(つづく)
参考 CrowLab
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